化学とは、非常に大まかに表現すると、原子と原子を結びつける(結合を形成する)ことを主眼とする学問です。多くの“物質”は、原子核と電子などからなる“原子”を様々な“結合”で結びつけることで成り立っています。化学という学問は、“結合の性質を理解”し、“様々な結合を如何につくるか”を探求し、“原子や分子の間に働く相互作用の性質を明らかにする”ことを通じて、無限の物質を創り出すとともにそれらの性質を解明するものです。対象としては、原子や分子、分子が集まってできるたんぱく質などの分子集合体、金属や半導体などの固体に至るまで、極めて多岐にわたります。化学から創造される成果は、自然の摂理を理解する基礎科学的な側面だけではなく、社会の様々な課題を解決するための基盤となります。人類に不可欠な基盤的学問と言えます。
筑波大学理工学群化学類では、無機・分析化学、有機化学、物理化学の基幹3分野を中心に、それらの学際領域も含めて、幅広く化学を学ぶことができます。高等学校で化学を学ぶ中で、「なんでそうなるんだろう?」と思ったことがあると思います。大学で学ぶ化学は、それらの疑問を一つ一つ解き明かしてゆくものです。身の回りの様々な現象をより深く理解することで皆さんの視野は大きく広がり、これまで見たこともない新たな発見や感じたことのない新しい興味を皆さんにもたらします。是非、化学を存分に楽しんでください。
4年生になると研究室に配属され、いよいよ最先端の化学をみずから創り出す活動をスタートします。それまでに得た知識を基に、誰も成し得ていない未知の世界を切り拓く“研究”は、化学を学んだ者が人類に貢献する活動そのものです。筑波大学理工学群化学類は、世界有数の研究環境で皆さんの研究活動をサポートします。春と夏に行われる大学説明会やオープンキャンパスなどで、是非見学しに来てください。
最後に、私の個人的な考えをお伝えします。
化学は、おもしろいです。もっとも創造的な学問の一つです。私は合成化学者ですが、分子を創り出せる唯一の学問である化学に魅せられて現在に至ります。是非、一緒に新しい化学を創り出しましょう。
加えて、皆さんのキャリア形成について一言。化学類を卒業した後のキャリアは極めてバリエーションが豊富で、様々な素晴らしい選択肢があります。早くからしっかりと自分の将来像を描くことを、お勧めします。その一つとして、参考までに。文部科学省は2024年3月26日に、「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を始めると発表しました。詳細については、調べてみてください。大きな変化が起こりつつあると感じています。
皆さんとともに、筑波大学理工学群化学類で化学を楽しむ日がくることを、心から楽しみにしています。
自然界における普遍的な法則と未知物質・未知現象の探求、機能性物質の創製と材料開発、環境問題やエネルギー問題の解決、生命現象の分子レベルでの解明などに必要な基礎的で幅広い化学の知識を有する人材を育成します。その上で、これらの知識と理解に裏打ちされた柔軟な思考力と国際的に活躍できる能力を有する人材の育成を目指します。
4年間で化学の専⾨性を養えるように、基礎から専⾨への積み上げ型の教育課程を編成・実施します。講義と実験を中⼼とした授業科⽬を設置するとともに、学⽣が能動的に学習に取り組めるようにするための演習科⽬や、化学に関する総合能⼒を養うための卒業研究を設置しています。
授業科⽬毎に到達⽬標を設定し、講義では、期末テストや⼩テスト、レポート、プレゼンテーション等により、実験実習では、レポートや実験に取り組む姿勢・質疑応答等により、総合的に達成度を評価します。
筑波大学学士課程の教育目標に基づく修得すべき知識・能力(汎用コンピテンス)を修得し、かつ本学群・学類の人材養成目的に基づき、学修の成果が次の到達目標に達したと認められる者に、学士(理学)の学位を授与します。
大学に入って学ぶ化学では、高校生までの「化学」とは違って、有機化学、無機化学、物理化学、放射化学、生物化学など細分化された化学を学ぶことになります。ゆえに、将来、研究職を目指す人にとって、専門性の高い知識が得られます。 もちろん、化学の勉強だけでなく、教員免許の取得やサークル活動、バイトをする時間もありますので、学生生活の充実のさせ方は人それぞれです。皆さんも、素晴らしい学習環境に加え、自分の興味で色々なことに挑戦することができる本学類で学びませんか。
化学類の魅力は、多様な講義を通して化学の面白さを体感しながら、専門的な知識と技能を習得できることです。講義では多岐にわたる化学の諸分野を網羅的に学習することができ、学生実験では充実した設備を使って測定や合成などの実験課題に挑戦することができます。そして、化学類には全国から化学が好きな学生達が集まり、切磋琢磨しています。皆さんも是非、化学類で化学の楽しさを存分に味わえる4年間を過ごしませんか。